「あの頃」の記憶を映す少女おしん 小林綾子
民放は朝ドラ「なつぞら」より「おしん」に戦々恐々、BS再放送でSNSは大騒ぎ
「おしん」。まーーー面白いです。
「渡る世間は鬼ばかり」の印象強くて橋田壽賀子先生には勝手に苦手意識持ってたんですが、とにかく面白い。毎日15分あっという間です。
壽賀子せんせいすごい。今まですみませんでした(ひれ伏す)
記事中にもあるように、おしんは放送当時爆発的にヒットし社会現象にまでなりました。なんと平均視聴率52.6%、最高視聴率62.9%という考えられない数字を叩きだし、国内テレビドラマの最高視聴率記録となっているようです。
「おしん」は日本国内のみならず海外68か国で放送され、特にアジア諸国ではこれまた爆発的ヒットを飛ばしました。
なぜそんなにヒットしたかって、それはもう、何度も言うけど脚本の力そして役者さん達の力、なかでも少女時代のおしんを演じた小林綾子さんの姿が電撃的なまでに視聴者の心に焼き付いてしまったからと言えるのではないでしょうか。
ところで実は「おしん」は実在する女性の人生を元に作られたお話だったようです。
あちこち「SYOWA」 297 「おしん」
(ブログ記事お借りしてきました)
「主婦と生活」誌の《母たちの遺産》という橋田壽賀子先生の連載企画に送られてきた、ある明治生まれの女性の体験談から、おしんの原案は生まれました。
その後その女性に取材を重ね、彼女の人生を土台に、橋田先生のもとに寄せられた他のさまざまな女達の経験を重ね合わせ「おしん」の脚本が練り上げられました。
本放送時の1983年、高度経済成長を経て日本は豊かになり、貧しかった時代の記憶は片隅に追いやられていました。
そんな時代の豊かな食卓のテレビに映し出される、少女おしんが大根めしを食べる姿、口べらしのため7つで奉公に出され粗末ないかだで川を下り奉公先に向かう姿、奉公先の赤ん坊を背中に背負ったまま1日過ごす姿、雪の積もるなか川でおしめを洗う姿。
「あれは私だ」「あれは母(姉)だ」
おしんの姿は、当時の日本人達、なかでも女達の、皆が貧しかった時代の中でもさらに低い位置におかれ抑圧されていた記憶を鮮烈に呼び起こし、心を揺さぶったことでしょう。
「おしん」は単なる明治生まれの女性の一代記にとどまらず、普遍性を帯びた《あの頃》の女達の物語として昇華したのです。
そんな女達の普遍の記憶、哀しみ、郷愁を映した少女おしん像を背負ったのが小林綾子さんでした。
今日でも「おしん」と言って皆が真っ先に思い出すのは幼い彼女の姿だと思います。
↑小林綾子さん出生図(出生時間不明)
獅子座太陽合水星(逆行)を頂点とする、双子座土星と天秤座天王星の小三角。
賢くしっかり者で芯が強いおしん像。
蟹座金星/天秤座冥王星/射手座終わり木星(逆行)Tスクエア。
社会の荒波に翻弄されるいじらしくけなげな少女おしん。
おしん放送開始日の二重円↑
内側が小林さんの出生図ですが、彼女のこの金星にトランジット(外側円)のトゥルーノードがかかっています。
そして彼女の木星にトランジットの月と海王星が乗る。
まさに、彼女の演じる少女おしんに日本中が熱狂することが運命づけられているかのようです。
そして彼女のキロンにこの日の太陽が合。
女達の心のなかにしまいこまれた《あの頃》の記憶を、再び表層意識に引っ張り出し、ことによっては浄化するという役割を、わずか10歳足らずの少女が背負って立つ。
これもまた非常に数奇な気がします。
日本中の人達、とりわけ女達の記憶と、橋田壽賀子先生の才能と、小林綾子さんの稀有な魅力が合わさり、おしんは歴史に残る名ドラマとして記憶されるようになりました。
あんまりにも大きな「おしん」というドラマを背負い、その後の人生、小林さんどうでした?おしんではない、小林綾子さんが幸せでありましたように。なんて思いながら、「なつぞら」に出演する彼女をしみじみとみてしまう私です。