ほしみる

西洋占星術修行中の人間の記録です

目醒めし黄金の奴隷たちへ ジョジョの奇妙なストーリーテラー荒木飛呂彦

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era画ジョルノジョバァーナ
(本家画像さすがに使えないのでわし画ですまん)
ジョルノの綴り間違ってたので差し替えました。恥

最近ジョジョにはまっていまして。昨日で完結した5部アニメ版。面白いです。本当に面白い。
面白さのあまり原作漫画も5部のみですが読了してしまいました。

そんで俄然作者の荒木飛呂彦先生に興味がわき、荒木先生について調べたり荒木先生の出生図出してみたりしましたです。

ジョジョと奇妙な生活 -荒木麻美 講演会-」レポート
http://wba.sakura.ne.jp/report/komabasai60/#2

荒木飛呂彦の嫁や娘の情報!奥さんとの馴れ初めや老けない理由も紹介
https://hapiee.com/araki-hirohiko

んで荒木先生出生図(出生時間不明)
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太陽双子座。
出生時間不明ですが月は蠍座海王星に合になるかならないか。
太陽金星合。
牡羊座火星/獅子座天王星との小三角の頂点。
アツい、アツすぎる、燃えたぎる男臭さ…ゴゴゴとかドドドとか書いちゃうよこれは。
アツくバトルする‼️ですが、小三角頂点太陽は双子座。こんなアツいのに闘うのは本人でなく本人の守護霊みたいなスタンドだし、闘いのスタイルは計算され尽くしたマインドゲームの応酬。
(そう来たか…‼️とかええ~そんなんアリ?みたいなトリッキーな闘い方が毎回楽しい…)

その一方、各キャラクターの描写は驚くほど豊かで荒木先生の人間観察の鋭さを感じさせます。
個々のキャラクターが生き生きと存在感を持って動き互いにかかわり合うことで物語はリアリティーの厚みをもって広がり始め、キャラクター同士の錬金術とでも言うようなフィールドが展開される。ジョジョはすぐれて魅力的な群像劇です。

というか、なんとなく全体的に体育会系の人間関係的なんですよね…(参照した記事によると荒木先生はずっとスポーツ少年でいらしたようですし)
とくに集団競技のスポーツの感じ。
強者こそ正義!力こそパワー‼️が基準の世界だがそのなかにもいろんな人間がいる。頭切れてリーダーシップあるやつが取り仕切りちょっとおつむに自信ない子達は素直にそれに従う(5部ご存知の方は特定のキャラが浮かんでいらっしゃるかと)
性格に問題ある子も勿論いて、そういうのはやっぱりそういうの同士でつるんでたり(5部ご存知の方は以下略)
んで、組織、チームが絶対。個々がチーム全体のためにそれぞれの得意を生かして全力で尽くしまくる。その絆はなんかめちゃ強くなり絶対的な力を持つようになる。
それが集団競技スポーツの人間関係。
がそのまんまジョジョ世界のギャングの姿になってるよね…と思った。
荒木先生の星で見ると、太陽/天王星山羊座土星のヨッドですよね。
天王星だからどこかはみ出し者臭が漂い、そこがギャングへのシンパシーとなる。

物語の中心となるのはまだ10代そこそこの、不幸な生い立ちを背負ってどうしようもなく裏社会に流れ着いた少年たち。
それゆえ物語には独特の哀しみがつきまといます。

ギャングったら今話題の反社つまり反社会勢力、お行儀悪いし結構ブラックなこともやる。でも警官さえ買収される腐敗した社会で、(とくに主人公ジョルノが加わることになる『護衛チーム』は)街の駆け込み寺的な役割も果たしています。ご近所の皆さんの相談に乗ってあげるし、ショバ代はもらっても麻薬は売らない。誇りと自負をもって「仕事」をしているんですね。
そんでボスが娘を父親自ら殺そうとした折には、護衛チームリーダーのブチャラティは、正義感から激怒して組織の裏切り者にまでなります。義理と人情と友情と絆‼️です。
単なる熱血スポ根でなく、はみ出し者たちが心を寄せ合い、自分達の信じる正義のために闘うんです。

その闘いのなか、仲間の何人かは命を落とします。
が仲間の遺志は受け継がれ、主人公ジョルノと生き残った仲間達は辛くもボスに勝つことが出来ます。

ここで作中の「眠れる奴隷」という言葉をピックアップしたいと思います。
ボスと闘い勝った後、の最終話に出てくる言葉、そのままその回のタイトルにもなっています。

そのなかでの彫刻家スコリッピの台詞を引用します。

「我々はみな『運命』の奴隷なんだ
やはり形として出たものは…………
変えることはできない…

何者たちか知らないが
彼らはこれで『苦難の道』を歩み そこで何人かは命を落とすことになる!
(中略)
彼らがこれから歩む『苦難の道』には何か意味があるのかも知れない………

彼らの苦難が………

どこかの誰かに
希望として伝わって行くような
何か大いなる意味となる
始まりなのかも知れない…

無事を祈ってはやれないが

彼らが
『眠れる奴隷』で
あることを祈ろう………

目醒めることで…

何か意味のあることを
切り開いて行く
『眠れる奴隷』であることを……」

スコリッピは誰かの死を預言するスタンド能力の持ち主ですが、預言された運命を変えることは出来ません。
彼の意思にかかわらず、預言された死は数ヶ月以内に必ず現実のものとなってしまいます。

そのスタンドが、ブチャラティの死を預言してしまいます。護衛チームのひとりであるミスタは必死でその運命を変えようとしますが、そのことがかえってブチャラティ以外の仲間も落命させることとなるのです。

このことは先程の台詞にあるように、ある面では我々はあらかじめ定められた運命をただなぞるだけの存在、つまり運命の奴隷に過ぎないということのあらわれでしょう。
ミスタが仲間を想うあまり運命を変えようと試みそれによって皮肉にも他の仲間も死なせる運命へと導かれてしまったことは、運命のもうひとつの性質…抗い変えようともがくことで更に苛酷な道へと導かれてしまう可能性を示していると言えます。

そうであるならば、われわれはただ運命に蹂躙されるだけの存在として甘んじて地を這うよりないのでしょうか。

このことについて、荒木先生が5部のあとがきで書いていらっしゃるので引用します。

「この第5部『黄金の風』を描く時にぼくは考えました。では『生まれて来た事自体が悲しい』場合、その人物はどうすればいいのだろうか?人は生まれる場所を選べません。幸せな家庭に生まれる人もいるし、最初からヒドイ境遇に生まれる人もいます。
で、もし『運命』とか『宿命』とかが、神様だとか、この大宇宙の星々が運行するように、法則だとかですでに決定されているものだとしたら、その人はいったいどうすればいいのだろうか?そのテーマがこの第5部『黄金の風』の設定であり、登場する主人公たちや敵たちです。
(中略)
その答えをぼくにくれたのは誰あろう、主人公たちでした。主人公たちは『運命』や『宿命』を変えようとはせず(ミスタは変えようとしてたけど笑 この変えようとしちゃえるところが彼の単純明快な純真さですよね/era註)、彼らのおかれた状況の中で『正しい心』を捨てない事を選んだのです。正義の心の中にこそ『幸福』があると彼らは信じて。自然にそうなったのです。」

死んでいく者たちも、命をかけて自分の信ずるところを守り、未来を仲間に託し、そうして死んでいった。
残された者たちも、仲間の遺志を受け継ぎ、彼らの心を未来につなげていく。
同じ運命の奴隷であるとしても彼らは、スコリッピの言葉を借りるならば、
目醒めることで何か意味のあることを切り開いて行く、「目醒めた奴隷」と言えるでしょう。

しびれるー…

物語中で表現され尽くしていて蛇足を加える意味もないので普通の感想文です。
ですが占星術畑の隅っこにいる者として胸をかきむしられる心持ちになります、荒木先生。
人間として生を受け浮世に暮らしていて目醒めた奴隷の境地を体現するのはなかなか至難のワザ。
大半の人は眠れる奴隷のまんまでそのまま寿命を迎えこの世を去るんよ。そーなんよ。

が、少しでも目醒めの状態に近付けるよう、自分を知り、自分の信ずるところと周りへの愛のために生きたいし、あわよくば誰かに希望のバトンを手渡したい。

と思います。

ところでアニメから入ってあとから原作読んだんだけど、原作もすごいが、アニメもすごいなーということがよくわかった。
原作のいりくんだところ、読み返さないと分かりにくいところ(なんせトリッキーだから)、アニメだとスッキリ一度でわかる。
すごい。音楽とかもよいし。

見たことない人、原作とアニメと両方をおすすめしたい。

と、蛇足の蛇足でおわる。
それでは皆様Arrivederci✋